企業がネット上の風評被害を受けたときの対処方法

目次
  1. ネット上の風評被害とは
  2. 風評被害が発生する主な場所
  3. 風評被害を受けたときの初動対応
  4. 風評被害への具体的な対処方法
  5. 対処する際の注意点
  6. まとめ

ネット上の風評被害とは

ネット上の風評被害とは、インターネット上に掲載された事実と異なる情報や、誤解を招く表現によって、企業の信用やブランドイメージが損なわれることを指します。従来のメディアと異なり、インターネット上の情報は誰でも発信でき、一度拡散されると完全な削除が困難であるという特徴を持っています。

風評被害の厄介な点は、必ずしも虚偽の情報だけが問題になるとは限らないことです。事実の一部だけを切り取った投稿や、文脈を無視した引用、個人の主観的な感想であっても、それが大量に拡散されれば企業の評判を大きく左右します。

とくに近年は、求職者が応募前に企業名を検索する、取引先の担当者が商談前に相手企業を調べるなど、ビジネスにおけるインターネット検索の重要性が増しています。そのため、ネット上の風評被害が企業活動に与える影響は、以前と比較して格段に大きくなっています。

風評被害への対処は、問題の性質や発生場所によって最適な方法が異なります。本記事では、風評被害が発生する主な場所ごとの特徴と、それぞれに適した対処方法を解説します。

風評被害が発生する主な場所

ネット上の風評被害は、さまざまなプラットフォームで発生します。それぞれの場所によって情報の拡散メカニズムや対処のアプローチが異なるため、まずはどこで問題が起きているのかを正確に把握することが重要です。

検索候補(サジェスト)

GoogleやYahoo!の検索窓に企業名を入力した際、「ブラック」「詐欺」「やばい」といったネガティブなキーワードが検索候補として自動表示される現象は、サジェスト汚染と呼ばれています。ユーザーがまだ何も調べていない段階でネガティブな印象を与えるため、企業にとって特に影響の大きい風評被害の一つです。

検索候補は多くのユーザーの目に触れるうえ、候補をクリックしてさらに検索するユーザーが増えることで表示が固定化されやすいという悪循環の構造を持っています。

口コミサイト・レビューサイト

Googleマップの口コミ、転職サイトの企業口コミ、業界特化型のレビューサイトなど、口コミが集まるプラットフォームは風評被害の発生源になりやすい場所です。匿名で投稿できるサイトが多いため、事実に基づかない投稿や感情的な批判が書き込まれるケースがあります。

口コミサイトの情報は検索結果の上位に表示されやすく、しかもユーザーからの信頼度が高い傾向にあるため、ネガティブな口コミが与える影響は無視できません。

SNS

Twitter(X)、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSは、情報の拡散スピードが極めて速いプラットフォームです。一つの投稿が数時間で数万人の目に触れることもあり、いわゆる「炎上」が発生すると短期間で企業イメージが大きく毀損される場合があります。

SNSでの風評被害は、一般ユーザーの投稿だけでなく、インフルエンサーによる発信や、まとめ投稿による二次拡散など、複数の経路で広がるのが特徴です。

掲示板・ブログ

匿名掲示板や個人ブログに書き込まれたネガティブな情報も、検索結果に表示される可能性があります。掲示板の投稿は長期間にわたって残り続けるケースが多く、古い情報がいつまでも検索結果に表示され続けるという問題があります。

個人ブログの場合は、SEOに強い記事が検索上位に表示されることもあり、一つの記事が企業の評判に長期的な影響を及ぼすことがあります。

風評被害を受けたときの初動対応

風評被害の存在に気づいた段階で、適切な初動対応を取ることが重要です。初動の判断を誤ると、かえって問題を拡大させてしまうリスクがあります。

現状の把握

まず行うべきは、風評被害の全体像を正確に把握することです。具体的には以下の点を確認します。

この段階では、該当する投稿やページのスクリーンショットを保存し、URLと日時を記録しておくことが重要です。後から法的対応や削除依頼を行う際の証拠として必要になります。

社内での情報共有

風評被害の状況を把握したら、経営層や関連部署に速やかに情報を共有します。対応方針は組織として統一する必要があるため、広報担当、法務担当、経営層の間で認識を合わせることが不可欠です。

情報共有の際には、感情的な判断を排除し、事実に基づいた報告を行うことが大切です。「どこに」「何が」「どの程度」書かれているのかを客観的に整理して伝えます。

感情的な対応を避ける

風評被害を受けた際に最も避けるべきは、感情的な反論や攻撃的な対応です。SNS上での反論が二次炎上を招いた事例は数多くあります。

ネガティブな投稿に対して怒りや焦りから即座に反応したくなる気持ちは理解できますが、冷静に状況を分析し、適切な対応策を練ってから行動に移すことが重要です。拙速な対応は事態を悪化させるリスクがあり、一度発信した内容は取り消すことができません。

風評被害への具体的な対処方法

風評被害の発生場所や内容に応じて、適切な対処方法を選択する必要があります。ここでは、主な対処方法とその特徴を解説します。

検索候補のネガティブワードへの対処 - サジェスト対策

風評被害の中でも、検索候補にネガティブなワードが表示されるケースには、サジェスト対策で対応できる場合があります。検索候補は多くのユーザーの目に最初に触れる情報であり、企業の第一印象を左右するため、優先的に対処すべき領域の一つです。

サジェスト対策は、検索エンジンのアルゴリズムに働きかけ、ネガティブなキーワードが検索候補に表示されにくくする施策です。自社で対応することも可能ですが、専門的な知識が必要なため、サジェスト対策の専門業者に依頼するケースが一般的です。

なお、サジェスト対策はあくまで検索候補に表示されるキーワードに対するアプローチであり、口コミサイトの投稿内容やSNSの投稿そのものを変えるものではありません。風評被害の全体像を把握したうえで、他の対処方法と組み合わせて対策を進めることが効果的です。

口コミサイトの削除依頼

事実と異なる口コミや、名誉毀損にあたる投稿については、各口コミサイトの運営元に対して削除依頼を行うことができます。Googleマップの口コミであれば、Googleビジネスプロフィールの管理画面から報告が可能です。

削除依頼が認められるかどうかは、各サイトの利用規約やポリシーに基づいて判断されます。単に企業にとって不都合な内容であるだけでは削除されない場合がほとんどです。「事実と異なる点」「規約のどの条項に違反しているか」を具体的に示すことで、削除が認められる可能性が高まります。

削除が認められない場合でも、口コミに対して誠実な返信を行うことで、他のユーザーに企業の姿勢を示すことができます。

SNS投稿への対応

SNS上のネガティブな投稿への対応は、投稿の性質によって判断が異なります。明確な虚偽情報や名誉毀損にあたる投稿については、各SNSプラットフォームへの通報を行います。

個人の感想や意見として投稿されたネガティブな内容については、削除を求めることが逆効果になる場合があります。企業からの削除要請がSNS上で公開され、さらに炎上するケースは少なくありません。

炎上状態にある場合は、事実関係を整理したうえで公式アカウントから冷静な説明を行うか、沈静化を待つかの判断が必要です。この判断は状況によって大きく異なるため、広報の経験がある担当者や外部の専門家と相談のうえで対応を決めることをおすすめします。

法的対応(弁護士への相談)

風評被害の内容が悪質で、名誉毀損や信用毀損にあたる場合は、法的対応を検討する必要があります。法的な判断が必要な場合は弁護士などの専門家へ相談してください。

弁護士に相談することで、発信者情報開示請求や損害賠償請求といった法的手段の可否を判断してもらえます。また、裁判所を通じた仮処分申請により、問題のある投稿の削除を命じてもらえる場合もあります。

法的対応には時間と費用がかかるため、費用対効果を考慮した判断が必要です。また、法的手段によって投稿が削除されたとしても、検索候補への影響が残る場合があるため、サジェスト対策との併用も検討の余地があります。

ポジティブ情報の発信

風評被害への対処として、ネガティブ情報の削除や非表示だけでなく、ポジティブな情報を積極的に発信することも効果的な手段です。

企業ブログやオウンドメディアでの情報発信、プレスリリースの配信、SNSでの定期的な発信などを通じて、検索結果における自社のポジティブな情報の割合を高めていきます。こうした取り組みは即効性には欠けますが、中長期的に企業のオンライン上の評判を改善する土台となります。

ポジティブ情報の発信にあたっては、過度な自画自賛にならないよう注意が必要です。お客様の声の紹介、社員インタビュー、社会貢献活動の報告など、第三者の視点が含まれるコンテンツが信頼性の面で効果的です。

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対処する際の注意点

風評被害への対処にあたっては、いくつかの重要な注意点があります。誤った対応は事態を悪化させるリスクがあるため、以下の点を十分に理解したうえで行動してください。

対処の優先順位を明確にする: 風評被害が複数の場所で同時に発生している場合、すべてを同時に対処しようとすると対応が散漫になりがちです。影響の大きさと対処の実現可能性を基準に優先順位をつけ、段階的に対応を進めることが効果的です。多くの場合、最も多くのユーザーの目に触れる検索候補への対策が優先されます。

自作自演やステルスマーケティングは避ける: ネガティブな口コミに対抗するために、自社で偽の好意的な口コミを投稿する行為は絶対に避けるべきです。発覚した場合の信用失墜は、元の風評被害をはるかに上回る深刻なダメージを企業に与えます。景品表示法やステルスマーケティング規制に抵触する可能性もあります。

根本的な問題がないかを確認する: ネガティブな情報が完全に虚偽であるとは限りません。自社のサービスや対応に改善すべき点がある場合は、まずその根本原因を解決することが最も重要です。表面的な対処だけでは同じ問題が繰り返される可能性があります。

記録を残す: 風評被害への対処過程は、すべて記録に残しておくことが重要です。どの投稿に対して、いつ、どのような対応を行ったのかを時系列で記録しておくと、後から対応の効果を検証する際や、法的対応に移行する際に役立ちます。

専門家への相談をためらわない: 風評被害の対処には専門的な知識が必要な場面が多くあります。検索候補の問題であればサジェスト対策の専門業者、法的な問題であれば弁護士など、状況に応じて適切な専門家に相談することが解決への近道です。

まとめ

ネット上の風評被害は、検索候補、口コミサイト、SNS、掲示板など、さまざまな場所で発生します。それぞれの場所によって情報の拡散メカニズムや最適な対処方法が異なるため、まずは問題の全体像を正確に把握することが対策の第一歩です。

風評被害を受けた際は、感情的な対応を避け、冷静に現状を分析したうえで対処方針を決めることが重要です。検索候補のネガティブワードにはサジェスト対策、口コミサイトには削除依頼、法的問題には弁護士への相談と、問題の性質に応じて適切な手段を選択し、必要に応じて組み合わせて対応することが効果的です。

対処にあたっては、自作自演の口コミなど不正な手段を避け、ポジティブな情報発信も含めた中長期的な取り組みを並行して進めることが、企業の評判回復につながります。風評被害は放置するほど対処が困難になるため、早期に発見し、適切な対策を講じることをおすすめします。

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