サジェスト対策とは
サジェスト対策とは、GoogleやYahoo!、Bingなどの検索エンジンにおいて、検索窓にキーワードを入力した際に自動的に表示される検索候補(サジェスト)から、ネガティブなワードを非表示化するための施策を指します。
検索エンジンには「オートコンプリート」や「サジェスト」と呼ばれる機能が搭載されています。これはユーザーがキーワードを入力する途中で、関連する検索候補を自動的に表示し、検索の利便性を高めるためのものです。たとえば「東京 ホテル」と入力し始めると「東京 ホテル おすすめ」「東京 ホテル 安い」などの候補が表示されます。
しかし、この機能が企業にとって問題となるケースがあります。「株式会社〇〇」と入力した際に「株式会社〇〇 ブラック」「株式会社〇〇 詐欺」「株式会社〇〇 やばい」といったネガティブなキーワードがサジェストとして表示されてしまう場合です。こうしたネガティブサジェストは、企業のブランドイメージ、採用活動、売上に直接的な悪影響を及ぼします。
サジェスト対策は、このようなネガティブサジェストの表示を改善するための取り組みです。具体的な手法としては、検索エンジンへの削除申請、専門業者への依頼、自社によるコンテンツ施策などがあり、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
なお、各検索エンジンのサジェスト機能には以下のような特徴があります。
- Google - 国内で最も利用者が多い検索エンジンです。サジェストは「オートコンプリート」と呼ばれ、検索トレンド、ユーザーの位置情報、過去の検索履歴などを複合的に反映して候補を生成します。
- Yahoo! JAPAN - 独自のサジェストアルゴリズムを使用しています。Googleとは異なるキーワードが表示されることが多く、対策も個別に行う必要があります。
- Bing - MicrosoftのEdgeブラウザにデフォルト搭載されており、利用者は増加傾向にあります。独自の基準でサジェスト候補を生成しています。
サジェストが表示される仕組み
サジェスト対策を適切に行うためには、そもそもサジェストがどのような仕組みで表示されるのかを理解しておくことが重要です。検索エンジンごとに詳細なアルゴリズムは異なりますが、基本的な仕組みには共通点があります。
検索ボリュームとユーザー行動
サジェストに表示されるキーワードの選定において、最も大きな影響を持つのが検索ボリューム(検索回数)です。多くのユーザーが特定のキーワードの組み合わせで検索を行うと、その組み合わせがサジェスト候補として表示されやすくなります。
たとえば、ある企業に関する不祥事がニュースで報道された場合、多数のユーザーが「企業名 不祥事」「企業名 問題」などで検索を行います。この検索行動が集中すると、検索エンジンはこれらのキーワードを「ユーザーが求めている情報」と判断し、サジェスト候補に追加します。
また、検索ボリュームだけでなく、検索後のユーザー行動も影響します。サジェスト候補をクリックしたユーザーがそのまま検索結果のページを閲覧した場合、その候補の「有用性」が高いと判断され、表示が維持・強化される傾向があります。逆に、候補をクリックしてもすぐに離脱した場合は、表示の優先度が下がる可能性があります。
検索エンジンごとのアルゴリズムの違い
サジェストの表示ロジックは、検索エンジンによって異なります。そのため、同じ企業名で検索しても、Google、Yahoo! JAPAN、Bingで表示されるサジェスト候補が異なるケースは珍しくありません。
Googleのオートコンプリートは、検索の人気度、ユーザーの所在地、過去の検索クエリ、トレンド性などを総合的に判断して候補を生成しています。また、Googleは「オートコンプリートポリシー」を定めており、暴力的な表現や差別的な表現、個人情報に関するものなどはポリシー違反として削除対象となる場合があります。
Yahoo! JAPANは、Googleとは独立したサジェストアルゴリズムを使用しています。Yahoo!のサジェストはGoogleよりも更新頻度が高いとされており、ネガティブワードが比較的早く表示される一方で、対策後の反映も早い傾向が報告されています。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個別のケースによって異なります。
Bingは、Microsoft独自のアルゴリズムでサジェスト候補を生成しています。GoogleやYahoo!と比較して利用者は少ないものの、Windows PCのEdgeブラウザでデフォルト設定のまま使用しているユーザーも多く、無視できない存在です。
地域・デバイスによる表示差
サジェストの表示内容は、ユーザーの所在地域やデバイスの種類によっても異なることがあります。Googleは特に位置情報の影響を強く受けるため、同じキーワードを入力しても東京と大阪で異なるサジェスト候補が表示される場合があります。
また、PCとスマートフォンでは表示されるサジェスト候補の数や内容が異なることがあります。スマートフォンでは画面サイズの制約から表示される候補数が少なくなるため、上位に表示される候補の影響がより大きくなります。
この地域・デバイスによる差異は、サジェスト対策の効果を確認する際にも重要なポイントとなります。自社のサジェスト状況を確認する際は、複数の地域・デバイスでチェックすることが望ましいでしょう。確認時にはシークレットモード(プライベートブラウジング)を使用し、個人の検索履歴の影響を排除することも重要です。
サジェスト対策の具体的な方法
ネガティブなサジェストが表示されている場合、いくつかの対策方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に応じて適切な手法を選択することが重要です。
Googleへの削除申請(オートコンプリートポリシー違反の報告)
Googleでは、サジェストに表示されるキーワードがGoogleの「オートコンプリートポリシー」に違反している場合、削除を申請することができます。ポリシー違反に該当する可能性があるケースとしては、以下のようなものがあります。
- 個人のプライバシーに関わる情報が含まれている場合
- 差別的、暴力的、性的な表現が含まれている場合
- 危険な行為を助長する内容が含まれている場合
申請はGoogleの検索結果ページから直接行う方法と、Googleの法的リクエストフォームから行う方法があります。サジェスト候補の横に表示される「報告」リンクから、不適切なサジェスト候補をGoogleに通知できます。
メリット: 費用がかからず、自社で直接対応できます。ポリシーに明確に違反しているケースでは削除される可能性があります。
デメリット: 企業にとってネガティブであるだけではポリシー違反とは認められないことが多く、削除の基準は厳格です。申請から結果が出るまでに時間がかかり、必ずしも削除されるとは限りません。また、Yahoo! JAPANやBingには別途申請する必要があります。
Yahoo! JAPANでは「Yahoo!検索 お問い合わせフォーム」から、Bingでは「コンテンツ削除フォーム」から、それぞれ個別に申請を行うことができます。各検索エンジンの審査基準は異なるため、一方で削除が認められても他方では認められないというケースもあります。
専門業者によるサジェスト非表示対策
サジェスト対策に強みを持つ業者に依頼する方法もあります。専門業者は検索エンジンのアルゴリズムに関する知見と実績を持ち、ネガティブサジェストの非表示化に向けた施策を実行します。
メリット: 専門的な知識と経験に基づいた対策が受けられます。自社で対策に費やす時間と労力を削減でき、複数の検索エンジンに対して同時に対策を進められるケースもあります。また、サジェスト対策の進捗を定期的にレポートとして報告してくれる業者も多く、状況の把握が容易です。
デメリット: 費用が発生します。また、業者によって手法や品質にばらつきがあります。検索エンジンのガイドラインに反する手法を用いる業者も存在するため、業者選定には注意が必要です。さらに、サジェストの表示は最終的に検索エンジンのアルゴリズムが決定するため、どれだけ対策を行っても結果を完全に保証することはできません。
自社によるコンテンツ施策
外部業者に依頼するだけでなく、自社でも並行して取り組める施策があります。中長期的な視点での企業レピュテーション改善に寄与するアプローチです。
ポジティブな検索行動の促進: プレスリリースの配信、企業ブログの運営、SNSでの情報発信など、自社に関するポジティブな情報を積極的に発信し、ユーザーがポジティブなキーワードと組み合わせて検索する機会を増やします。
公式サイトのSEO強化: 検索結果の上位に自社の公式情報が表示されるよう、SEO施策を強化します。ユーザーが企業名で検索した際に、正確な情報にいち早くアクセスできる環境を整えることが重要です。
口コミ・レビューへの誠実な対応: Googleマップの口コミやレビューサイトに投稿されたネガティブな意見に対して、丁寧かつ誠実に回答します。放置するのではなく、企業として真摯に対応する姿勢を見せることが、信頼回復の第一歩となります。
メリット: 費用を抑えて実施できます。サジェスト対策だけでなく、企業全体のオンライン評判の改善にもつながります。
デメリット: 効果が現れるまでに時間がかかります。また、ネガティブサジェストの非表示に直接的な効果があるわけではなく、あくまで補助的な位置づけとなります。